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人間失格

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一人暮らしになったので、お風呂で本を読むことができる。
以前、図書館から借りた本を湯船に落としえらい目にあったので、それ以来、お風呂では自分の本を読むことに決めている。

すぐに手に入る本はおおむね札幌の部屋を引き払うときに売ってしまったが、この本はなぜか本棚に残っていた。気になる表現が二つあったので、それだけ書き留めておく。

人間失格/太宰治

「してその翌日(あくるひ)も同じ事を繰返して、
昨日に異らぬ(かわらぬ)慣例(しきたり)に従えばよい。
即ち荒っぽい大きな歓楽(よろこび)を避けてさえいれば、
自然また大きな悲哀(かなしみ)もやって来ないのだ。
ゆくてを塞ぐ邪魔な石を
蟾蜍(ひきがえる)は廻って通る。
上田敏訳のギイ・シャルル・クロオとかいうひとの、こんな詩句を見つけた時、自分はひとりで顔を燃えるくらいに赤くしました。」

「世間。どうやら自分にも、それがぼんやりわかりかけて来たような気がしていました。(中略)人間は決して人間に服従しない、(中略)大儀名分らしいものを称えていながら、努力の目標は必ず個人、個人を乗り越えてまた個人、世間の難解は、個人の難解、大洋(オーシャン)は世間ではなくて、個人なのだ、と」

メディアでの発信も個人の手に移っていく未来を考えると、個人としての発言や行動の価値が高まってきているような気がして、そこに活力を見出している自分がいる。

今日の午後、故郷からひとつ訃報が届いた。アルコール中毒とうつ病を患っていた知人が50歳の若さで急性肝硬変で自宅で一人、死んだ。何度か仕事をしたことのあるロックミュージシャンだった。「マイケル・ジャクソンに合わせやがったな、あいつ」彼の友人は葬儀の後でこう言ったという。

写真は浅草ゲストハウスのトイレにあった小さなひまわり。ゴッホを思い出して携帯で撮ったのは暑い夏の日だった気がする。枯れゆく花も美しいと初めて思った。
by channelp | 2009-12-13 23:48
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