![]() ゴーギャン展に行ってきた。 午前で仕事が終わった帰りの地下鉄で、手帳に割引券が入っていることに気づいて、なんとなく行くことにした。 油絵に、ちょっとがっかりした。 光の当たり方が不自然だったり、遠近感がおかしかったり、そんな気がして、よくわからなかった。 細かいことを気にしすぎなのだろうか。 メインの大作「我々はどこから来たのか 我々は何者なのか 我々はどこへ行くのか」で気になりだし、その後も光が気になって仕方なかった。 身体のバランス、曲がり方、そういうところも気になった。 それが悪いことなのか、良いことなのか、私にはよくわからなかった。 そんな絵があっても別に良いのかもしれない。 ただ私は、ゴーギャンの油絵が好きではないんだ、ということは、よくわかった。 けど版画は、見れて良かった。水面の彫り方、人の彫り方、初めて彫刻刀を持った中学生の頃にこの版画を見ていたらなぁ、価値観変わってたかも、と思った。 同じ版を使って、ゴーギャンの自摺り、死後に刷られたポーラ版ともうひとつ、3種類の版画を並べた展示がまた面白かった。 ゴーギャンの人生は、また複雑だ。 父親は共和系ジャーナリストで、二月革命のパリに生まれ、新政府の弾圧を逃れペルーへ亡命。父の死後、母とフランスに戻り、海軍へ入り、証券会社勤務後、30代半ばで画家となるが、その前に彫刻を学んでいるよう。 家族を捨てて単身で当時フランス領のタヒチに渡り、戻ってきて開催する回顧展で絵が売れず、売れないばかりか、マネやルノアールにひどいと言われ、ゴヤだけは買ってくれたらしいが、そのときタヒチの良さを伝えることが先決と、本を書き、挿絵として版画を作ったそうだ。 メインの大作は、離れて暮らす娘の死を聞いて描いたとされる。描きあげて自殺未遂し、その5年後にモルヒネの大量摂取と心臓発作でタヒチ島の隣のマルキーズ諸島で死ぬ。54歳。 ネットで調べて驚いたのは、図録やチケット、近美の外観などを撮影したスライドショーのゴーギャン展告知映像があったこと。微妙。でもゴーギャンへの愛か。 タヒチにはゴーギャンの子孫が100名を超える!のにゴーギャンの絵は1枚もない。孫の一人マルセルさんは、知り合いの画家に模写をたくさん描かせて、それを並べ心を満たしている。マルセルさんは家具職人なので額縁は手作り。 模写で心を満たすこと、模写を描く画家のきもち、なんだか切なくなってしまった。 マルセルさんの気持ちも理解できるけれど、私なら、模写ではなくて、図録を拡大コピーするな。 模写させる画家に申し訳ないもの。画家には、その人の絵を描いてほしいな、と思う。 お金がもらえるなら、どんな絵でも描く画家というのは、嫌だな。 子供じみてるかな、仕事とはそういうものかな。 ゴーギャンのタヒチの絵、一枚くらいタヒチに置きませんか? と私が言っても仕方ないのだろうけど。 愛は、愛として、心から愛でられる所に。 子供じみてるかな。 ◆関連リンク ゴーギャン展(東京国立近代美術館~9/23終了) 受付の混雑状況や、館内上映VTRのYouTube配信、出展目録ダウンロード、など細かい案内がきっちりできていて、見事です。
by channelp
| 2009-09-18 23:54
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